韓国への海外送金と非居住者に支払う使用料の支払調書 — 手数料の負担・外貨の円換算・PDF請求書の保存
韓国のフリーランスや企業に海外送金で支払う経理担当者向けに、送金の依頼から翌年の支払調書、受け取った請求書の保存までを説明します。源泉徴収の判断と届出書は、それぞれのページで扱います。
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対象韓国の個人・法人に報酬を支払う日本の事業者(経理担当)。自社は日本に住所や事務所があり、支払先は日本に事務所などの拠点を持たない場合です。
結論
- 海外送金の手数料は、送金を依頼するときに負担を選びます。三井住友銀行の個人のお客さま向けページの手数料表では、受取銀行・経由銀行の手数料を依頼人負担にしても、受取人に別に請求されることがあります[1]。誰が負担するかは、契約で決めておきます。
- 源泉徴収の対象になる支払を外貨で行うときは、原則として支払期日の電信買相場(TTB)で円に換算して源泉徴収します[2]。法人が帳簿に記載する円換算額は法人税基本通達が別に定めていて、原則は取引日の仲値(TTM)です[3]。
- 著作権などの使用料(譲渡の対価を含む)を支払ったら、翌年1月31日までに支払調書を所轄税務署長に出します[4]。同じ人へのその年中の支払金額が50万円以下なら不要で、租税条約で軽減した分も「摘要」欄に書いて出します[5][6]。
- 100万円を超える国外送金の国外送金等調書は、銀行が出します。自社名義の口座からの振替で送金する場合(特定送金)などを除き、送金する自社は銀行に告知書を出します[7][8]。
- メールで届いたPDFの請求書は電子取引のデータです。所得税・法人税の保存義務者は、印刷した紙で代えず、データのまま保存します[9][10]。
このページの内容海外送金の手数料 — 依頼人負担・受取人負担とOUR・SHA・BEN
海外送金の手数料 — 依頼人負担・受取人負担とOUR・SHA・BEN
三井住友銀行の個人のお客さま向けページに載っている手数料表では、海外送金の手数料が二つに分かれています。送金する銀行の「海外送金手数料」と、「受取人取引銀行や経由銀行等でかかる」関係銀行手数料です[1]。
関係銀行手数料は、送金のときに依頼人負担か受取人負担かを選びます。依頼人負担なら、海外送金手数料に加えて自社が支払います。受取人負担なら、自社には請求されません[1]。
銀行間の送金では、負担区分をOUR・SHA・BENの記号で表します。三菱UFJ銀行の仕様書では、「OUR」が依頼人負担、「SHA」が受取人負担、「BEN」が手数料全額受取人負担です[11]。
手数料の負担は契約で決め、依頼書の区分をそろえる
送金の依頼書に書く受取人の情報
外貨建ての支払を円に換算する — 源泉徴収と帳簿
源泉徴収の対象になる対価を外貨で支払うときは、円に換算してから源泉徴収します。換算は、原則として支払期日の電信買相場(TTB)で行います。支払が著しく遅れていなければ、実際に支払った日の電信買相場でも差し支えありません[2]。
外貨で決めた金額を円で支払う場合など、支払の仕方ごとの扱いは韓国の個人・法人への支払と源泉徴収にまとめています。源泉徴収が必要かどうかの判断も、同じページで説明しています。
法人が外貨建ての取引を帳簿に付けるときの円換算は、法人税基本通達13の2-1-2が定めています。原則は、取引を計上すべき日(取引日)の電信売相場と電信買相場の仲値(TTM)です[3]。
継続して使うことを条件に、仕入その他の費用は取引日の電信売相場(TTS)で換算することもできます。相場は、原則としてその法人の主たる取引金融機関のものを使います[3]。
源泉徴収の換算と帳簿の換算は別の規定なので、同じ支払でも使う相場が違うことがあります[2][3]。このページで確認したのは法人の帳簿の規定だけです。個人事業者の帳簿の換算は、税理士に確認してください。
非居住者に支払う使用料の支払調書 — 期限は翌年1月31日
非居住者や外国法人に国内源泉所得の支払をする者には、法定調書の提出義務があります。出さなくてよい場合などの条件は下の表のとおりです[4][5]。著作権(出版権・著作隣接権などを含む)や工業所有権などの使用料と、その譲渡の対価には、「非居住者等に支払われる工業所有権の使用料等の支払調書」を使います[6]。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出期限 | 翌年1月31日[4] |
| 提出先 | 納税地等を所轄する税務署長[4] |
| 提出方法 | e-Taxで調書と合計表を作って提出するか、書面で作って持参または送付する[4]。ただし、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきだった枚数が30枚以上ならe-Tax等で提出する(2026年12月31日以前に提出する分は100枚以上)[15]。書面の調書には合計表を添付する[6] |
| 出さなくてよい場合 | 同じ人に対するその年中の支払金額が50万円以下のとき[5] |
| 租税条約で軽減した支払 | 軽減された旨を「摘要」欄に書いて出す[6] |
| 「支払金額」の欄 | その年中に支払の確定したものを書く。調書を作る日にまだ支払っていないものは内書きする[6] |
| 「源泉徴収税額」の欄 | 徴収される税額を書く[6] |
50万円の判定は、支払先ごとに1年分の支払金額で行います[5]。使うのは源泉徴収税額を差し引く前の支払金額です(源泉徴収税額は、支払金額に税率を掛けて計算するものです)[5][2]。届出書で10%にした支払先も、50万円を超えれば調書を出します[5][6]。
日本に来て行った役務の報酬など、使用料以外の国内源泉所得にも支払調書があります。こちらも、その年中の支払金額が50万円以下なら提出は不要です[15][5]。このページは使用料の調書だけを扱うので、ほかの調書は所轄の税務署に確認してください。
100万円を超える送金の国外送金等調書は銀行が出す
金融機関は、顧客がその金融機関を通じてした国外送金のうち100万円を超えるものについて、送金ごとに国外送金等調書を所轄税務署長に出します[7][8]。国税庁の手続案内でも、提出するのは金融機関で、時期は為替取引を行った日の翌月末です[17]。
調書には、送金した自社の名称・所在地・法人番号、国外の受取人の名称、国外の銀行、相手国、外貨額と円換算額、送金原因などが載ります[18]。
自社名義の口座(本人口座)からの振替で送金する場合(特定送金)などを除き、送金する自社は、送金の際に告知書を銀行に出します[7]。本人口座とは、本人の名義で国内の金融機関に開設され、金融機関が名称・住所・法人番号などを確認している口座です[7]。告知書を出すときは、法人の登記事項証明書などの書類の提示(または署名用電子証明書等の送信)が求められます[7]。告知書に書いた送金原因は、調書に載る事項です[7]。具体的な手続は、送金する銀行の案内に従います。
メールで届いたPDFの請求書は電子取引データとして保存する
取引情報の授受を電磁的方式で行う取引を「電子取引」といいます。取引情報には、請求書・領収書・見積書などに通常書かれる事項が含まれ、メールの添付ファイルでのやり取りも当たります[9]。
所得税(源泉徴収に係るものを除く)と法人税の保存義務者が電子取引をしたときは、そのデータを保存します[9]。韓国の支払先から受け取ったPDFでも、保存するのは受け取った自社です[9]。所得税・法人税の保存では、印刷した書面で代える方法は廃止されています[10]。
保存するときの要件は次のとおりです。詳しくは電子帳簿保存法のガイドで説明しています。
- 真実性の確保:タイムスタンプ、訂正削除の記録が残るシステムなど、4つの措置のうち1つを行います[19]。専用のシステムがなくても、事務処理規程を定めて守る方法で確保できます[20]
- 可視性の確保:ディスプレイなどを備え付け、日付・金額・取引先で検索できるようにします[19][21]。日付・金額の範囲指定と、2つ以上の項目の組み合わせでの検索も要件ですが、税務職員のダウンロードの求めに応じられるようにしていれば不要です[21]
- 検索機能が不要になる場合:基準期間の売上高が5,000万円以下の場合か、出力した書面を日付・取引先ごとに整理している場合です。どちらも、税務職員のダウンロードの求めに応じられることが条件です[21]
専用のソフトを使わない場合の例として、国税庁は次の方法を挙げています[22]。
- ファイル名に日付・取引先・金額を規則的に入れる(例:「20261130_HONG GILDONG_300000」)[22]
- 取引先ごとや月ごとのフォルダに保存する[22]
- 事務処理規程を定めて運用する[22]
ファイル名の代わりに、索引簿で管理する方法もあります[22]。
同じ内容の請求書が紙でも届き、紙を正本とすることを自社内などで取り決めている場合は、紙の保存だけで足ります。紙とデータの内容が違う場合は、両方を保存します[23]。
保存期間は、法人なら原則7年(青色申告で欠損金が生じた事業年度などは10年)です[24]。個人事業者の期間は、電子帳簿保存法のガイドの保存期間の表で確かめてください。
韓国の支払先に送金するときに確かめること
- 手数料の負担を契約で決め、その条件に合う区分(OUR・SHA・BENなど)で依頼したか[12][11]
- SWIFTコード、受取人のフルネーム、国名・都市名を含む実際の住所など、依頼書に要る情報がそろっているか[13]
- 源泉徴収の対象なら、外貨を円に換算した日と相場を記録したか[2]
- 使用料なら、支払先ごとに年間の支払金額を集計し、50万円を超える支払先の支払調書を翌年1月31日までに出す準備をしたか[5][4]
- 届出書で10%にした支払は、支払調書の「摘要」欄に軽減の旨を書くか[6]
- 自社名義の口座からの振替(特定送金)などに当たらない送金なら、銀行に告知書を出したか[7]
- メールで届いた請求書のPDFを、データのまま要件どおりに保存したか[9][19]
よくある質問
OURで送金したのに、支払先から「入金額が足りない」と言われました。
依頼人負担にしても、受取銀行や経由銀行が受取人に別に手数料を請求することがあります[1]。使用料から源泉徴収した場合は、その分も入金額が少なくなります[2]。送金の明細と源泉徴収の有無を支払先に伝え、差額の扱いは契約の条件で決めます。
租税条約で10%にした使用料も、支払調書を出しますか。
出します。同じ人へのその年中の支払金額が50万円を超えていれば、軽減された旨を「摘要」欄に書いて、翌年1月31日までに出します[5][6][4]。50万円以下なら不要です[5]。
100万円を超える送金をしたら、自社で税務署に届け出ますか。
国外送金等調書を出すのは銀行で、自社ではありません[7][17]。自社名義の口座からの振替で送金する場合(特定送金)などを除き、自社は送金の際に告知書を銀行に出します[7]。使用料を支払った場合の支払調書は、これとは別に自社が出します[4]。
メールで届いた韓国の支払先の請求書は、印刷して保存すれば足りますか。
所得税・法人税の保存としては足りません。電子取引のデータは、印刷した書面で代えずに、データのまま保存します[9][10]。保存の要件は電子帳簿保存法のガイドで確かめてください。
出典
- [1]
- [2]
国税庁 No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [3]
国税庁 法人税基本通達 13の2-1-2(外貨建取引及び発生時換算法の円換算)
2026年10月20日確認一次資料
- [4]
国税庁 F1-25 非居住者等に支払われる工業所有権の使用料等の支払調書(同合計表)
2026年10月20日確認一次資料
- [5]
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月20日確認)一次資料
- [6]
国税庁 【記載要領】非居住者等に支払われる工業所有権の使用料等の支払調書
令和8年分(2026年10月20日確認)一次資料
- [7]
内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律 第2条〜第4条
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月20日確認)一次資料
- [8]
内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令 第8条
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月20日確認)一次資料
- [9]
- [10]
国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問5(出力書面による保存)
令和8年7月一次資料
- [11]
三菱UFJ銀行 BizSTATION 被仕向送金到着案内 全銀フォーマット(手数料負担区分)
2026年10月20日確認
- [12]
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月19日確認)一次資料
- [13]
2025年11月17日現在
- [14]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [15]
国税庁 令和8年版 源泉徴収のあらまし「第11 源泉徴収票及び支払調書の提出」
令和7年9月1日現在の所得税法等関係法令一次資料
- [16]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [17]
2026年10月20日確認一次資料
- [18]
令和8年分(2026年10月20日確認)一次資料
- [19]
国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問18(保存の要件)
令和8年7月一次資料
- [20]
令和5年12月一次資料
- [21]
- [22]
- [23]
- [24]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
最終確認日