海外送金で報酬を受け取る — 請求書の振込先(英文)と手数料の負担
海外在住で日本の事業者に請求している方向けに、海外送金で受け取るための振込先の書き方と、手数料・通貨・支払期限の決め方を説明します。請求書にそのまま使える英文の振込先の例も載せています。
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対象韓国など日本国外に住みながら日本の事業者に請求する個人・法人(日本に事務所などの拠点を持たない方)。
結論
- 取引先は海外送金の依頼書に、受取銀行のSWIFTコード(BIC)、受取人のフルネーム、国名・都市名を含む住所、口座番号を書きます。三菱UFJ銀行の案内が、書くよう求めている項目です[1]。請求書の振込先にこれを英語でまとめておくと、取引先はそのまま書き写せます。
- 三井住友銀行の手数料表では、手数料は送金する銀行の手数料と、受取銀行・経由銀行の手数料に分かれます。後者を依頼人負担にしても、受取銀行や経由銀行が受取人から別に手数料を取ることがあります[2]。
- 日本法が適用される契約なら、民法485条により、別段の意思表示がないときは弁済の費用は債務者の負担です[3]。「日本の取引先が手数料を負担するのが普通」と示す資料は見当たらないので、誰が負担するかを見積書と請求書に書きます。
- 円で請求するか外貨で請求するかは、取引先と決めることです。法人の取引先は、外貨建ての取引を帳簿で円に換算します[4]。
- 著作権の譲渡や利用許諾の対価が含まれると、入金額は源泉徴収税額の分も少なくなります[5]。
このページの内容海外送金の振込先は英語で — 請求書に書く項目
海外送金の振込先は英語で — 請求書に書く項目
取引先は、日本の銀行に海外送金を依頼するとき、送金の依頼書に受取人の情報を書きます。三菱UFJ銀行の案内では、次の項目を書くよう求めています。SWIFTコード、フルネーム、住所は「必ず」書く項目とされています[1]。
- 受取人の取引銀行(経由銀行があればその銀行も)のSWIFTコード(BIC)[1]
- 受取人のフルネーム[1]
- 国名・都市名を含む住所。連絡先ではなく、実際の住所(法人なら所在地)です[1]
- 受取人の口座番号[1]
請求書の振込先の書き方に法令の決まりはありません。上の項目を英語でまとめておくと、取引先が依頼書に書き写すときの手間と書き違いを減らせます。次は書き方の例です。値はすべて架空なので、自分の口座の情報に置き換えてください。
請求書に書く振込先の例(英文・値は架空)
お振込先 / Bank Details Bank Name: SAMPLE BANK Branch: SEOUL MAIN BRANCH SWIFT Code (BIC): XXXXKRXX Account No.: 000-000000-00-000 Account Holder: HONG GILDONG Beneficiary Address: 12, Sample-ro, Jongno-gu, Seoul 03000, Republic of Korea
海外送金の手数料は誰が負担するか — 依頼人負担・受取人負担とOUR・SHA・BEN
三井住友銀行の手数料表では、海外送金の手数料が二つに分かれています。送金する銀行の「海外送金手数料」と、「受取人取引銀行や経由銀行等でかかる」関係銀行手数料です[2]。
関係銀行手数料は、依頼人負担にするか受取人負担にするかを選びます。受取人負担にすると、送金依頼人には請求されません[2]。
銀行間の送金では、手数料の負担区分をOUR・SHA・BENの記号で表します。三菱UFJ銀行の仕様書では、「OUR」が依頼人負担、「SHA」が受取人負担、「BEN」が手数料全額受取人負担です[6]。
負担の条件は見積書と請求書に書く
日本法が適用される契約なら、民法485条により、「弁済の費用について別段の意思表示がないときは」、その費用は債務者の負担です[3]。国内の振込手数料については、これを根拠に支払う側の負担が原則と解説されています[7]。
裏返せば、契約で別に取り決めれば、その取り決めに従います[3]。関係銀行手数料のように後から差し引かれる手数料をどう扱うかを定めた資料も、見当たりません。「日本の取引先は海外送金の手数料を負担するのが普通」と示す資料も見当たりません。
そこで、見積書の段階で負担の条件を決め、請求書にも同じ文言を書きます。「先方負担」「当方負担」は人によって受け取り方が違うので、用語集のとおり、誰が負担するかを名前で書きます。決まった文言はないので、次の例を取引に合わせて書き換えてください。
取引先がすべて負担する場合の例
海外送金にかかる手数料(送金銀行・経由銀行・受取銀行の手数料)は、貴社のご負担でお願いいたします。送金の際は、手数料の負担区分を「OUR」(依頼人負担)としてください。手数料が差し引かれて入金額が請求額に満たない場合は、差額を次回のご請求に加えさせていただきます。
手数料を分け合う場合の例
海外送金の手数料は、送金銀行の手数料を貴社、経由銀行・受取銀行の手数料を受取人(当方)の負担とします(負担区分「SHA」)。
円で請求するか外貨で請求するか
どの通貨で請求するかは、取引先との契約で決めます。「日本の取引先は円での請求を好む」と示す資料は見当たらないので、見積もりの段階で話し合って決めます。
外貨で請求しても、法人の取引先の帳簿では円に換算されます。法人の取引先は、原則として取引日の電信売相場と電信買相場の仲値(TTM)で換算します。継続して使うことを条件に、売上や資産は電信買相場、仕入や費用は電信売相場で換算することもできます[4]。
源泉徴収の対象になる報酬を外貨で請求した場合、源泉徴収税額の計算のために円に換算するのは取引先です。換算は、原則として支払期日の電信買相場(TTB)によります[5]。
円で請求すると、韓国の口座で受け取ってから両替するまでの為替の動きは自分が負います。外貨で請求すると、取引先が用意する円の額が為替で変わります。どちらにするかは、為替変動のリスクをどちらが負うかの交渉でもあります。
支払期限の決め方 — 月末締め翌月末払いと60日の規定
日本の取引では、締め日と支払日を決めて支払う慣行があります。「月末締め翌月末払い」は、月末に締めた分を翌月末に支払う条件です。たとえば2027年1月31日に締めた分は、2027年2月末日に支払います。解説記事では、この30日サイトが日本の商取引で最も一般的な設定とされています[8]。
日本のフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)には、支払期日の規定があります。従業員を使う事業者(法人なら役員が2人以上か、従業員がいる事業者)が、従業員を使わない個人などに業務を委託した場合、給付を受け取った日から60日以内で支払期日を定めるよう求めています[9]。ただ、日本国外に住む受託者にこの規定が適用されるかは、確認できていません。
支払期限は見積書や契約で取引先と決め、請求書に日付で書きます。海外送金の場合は、「支払期限までに送金手続をする」のか「支払期限までに着金する」のかも決めておきます。
入金額が請求額より少なくなるとき
海外送金で受け取る額は、請求額から次のものが差し引かれた額になることがあります。
- 手数料:受取銀行・経由銀行の手数料を受取人負担にした場合は、自分の負担になります。依頼人負担でも、受取人から別に取られることがあります[2]
- 源泉徴収税額:著作権の譲渡や利用許諾の対価なら、取引先は20.42%を源泉徴収します。その支払日の前日までに取引先を通じて租税条約の届出書が出ていれば、その支払は条約の税率(10%)に軽減されます(受益者が韓国居住者の場合)[5][10]。取引先が日本に住所や事務所を持っていれば、国外で支払う場合でも日本国内で支払ったものとみなして源泉徴収します[5]。韓国の口座に送金されるからといって、源泉徴収がなくなるわけではありません
源泉徴収がかかるかどうかと届出書は、海外在住者の報酬は源泉徴収される?で説明しています。請求書に日本の消費税を載せるかは、日本の消費税は必要?を見てください。
よくある質問
「OUR」で送ってもらったのに、入金額が請求額より少ないのはなぜですか。
依頼人負担にしても、受取銀行や経由銀行が受取人から別に手数料を取ることがあります[2]。また、著作権の対価として源泉徴収されている場合もあります[5]。まず取引先に送金の明細と源泉徴収の有無を確かめ、受取銀行に差し引かれた手数料の内訳を問い合わせます。差額をどう扱うかは、見積書や請求書に書いた条件に従います。
請求書は円で出すべきですか。外貨でもよいですか。
どちらで請求するかは契約で決めることで、外貨で請求しても、法人の取引先は帳簿で円に換算します[4]。「日本の取引先は円を好む」と示す資料は見当たらないので、為替変動のリスクをどちらが負うかを含めて見積もりの段階で話し合います。なお、Dokoloの請求書は「通貨」で円以外も選べます。
出典
- [1]
2025年11月17日現在
- [2]
2026年2月
- [3]
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月19日確認)一次資料
- [4]
国税庁 法人税基本通達 13の2-1-2(外貨建取引及び発生時換算法の円換算)
2026年10月20日確認一次資料
- [5]
国税庁 No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [6]
三菱UFJ銀行 BizSTATION 被仕向送金到着案内 全銀フォーマット(手数料負担区分)
2026年10月20日確認
- [7]
2026年7月30日更新
- [8]
2025年12月11日最終更新
- [9]
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)第2条・第4条
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月20日確認)一次資料
- [10]
財務省 日本国と大韓民国との間の租税条約(第12条 使用料)
2026年10月20日確認一次資料
- [11]
内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律 第4条
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月20日確認)一次資料
- [12]
内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令 第8条
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月20日確認)一次資料
最終確認日