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国外事業者からの請求書と仕入税額控除 — 韓国の支払先の消費税・リバースチャージ・インボイスの要否

韓国のフリーランスや企業に制作やサービスを頼んだ経理担当者向けに、受け取った請求書の消費税をどう扱うかを説明します。仕入税額控除ができるか、リバースチャージで申告するか、インボイス(適格請求書)を求める必要があるかを、取引の種類ごとに判断します。

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  • 出典8件
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対象韓国の個人・法人に報酬を支払う日本の事業者(経理担当)。自社は日本に住所や事務所があり、支払先は日本に事務所などの拠点を持たない国外事業者の場合です。

結論

  1. 韓国で行った受注制作(デザイン・ソフトウェア開発など)をインターネットで納品する取引は国外取引で、不課税です。仕入税額控除の対象は国内で行う課税仕入れなどなので、控除する日本の消費税はありません[1][2][3]。
  2. 電話・メールによる継続的なコンサルティング、オンライン講座、SaaSなどは電気通信利用役務です。事業者向けのものは「特定課税仕入れ」としてリバースチャージ方式の対象になり、申告するのは自社の側です(申告する条件は次の項目)[4][5]。
  3. リバースチャージで実際に申告し、控除するのは、一般課税で、その課税期間の課税売上割合が95%未満の場合だけです。それ以外の課税期間では特定課税仕入れは「なかったもの」とされ、申告も控除もしません[2]。
  4. 国外取引とリバースチャージの取引では、適格請求書(インボイス)の有無は控除に影響しません。リバースチャージで申告する課税期間は、帳簿の保存だけで控除します[3][2]。
  5. 適格請求書が控除に関わるのは、消費者向けの電気通信利用役務と、日本国内で行う課税取引です(自社が一般課税の場合)。消費者向けは、登録していない国外事業者からの仕入れに80%・70%などの経過措置も使えません[2][6]。

国外事業者からの請求書の消費税 — 判断の順番

韓国の国外事業者からの請求書を、国内の仕入先と同じように課税仕入れとして仕入税額控除の対象にすると、誤ることがあります。サービス(役務の提供)が国内取引かどうかは、原則としてサービスを行った場所で判定するからです[1]。次の順番で確かめます。

  1. 韓国で行った作業を納品してもらう取引か:成果物の受領や制作の指示をインターネットで行うだけなら、電気通信利用役務には当たらず、国外取引です[2][5]
  2. 電気通信利用役務か:インターネットなどを介したサービスそのものの提供は、受ける側の住所等で判定します。日本の自社が受ければ国内取引です[1]
  3. 事業者向けか消費者向けか:性質や取引条件から受ける側が通常事業者に限られるものが事業者向けで、リバースチャージの対象です[5][4]
  4. 日本に来て行ったサービスか:日本で行う作業は国内取引です[1]。芸能・スポーツ等の「特定役務の提供」はリバースチャージの対象で、申告の条件は事業者向けの電気通信利用役務と同じです[4]
取引消費税の扱い自社の処理適格請求書
受注制作(デザイン・ソフトウェア開発など)を韓国で行い、インターネットで納品国外取引(不課税)[1][2]仕入税額控除の対象にならない[3]控除に関係しない
著作権の譲渡・貸付け(支払先の住所が韓国)国外取引。インターネットで受け渡しても電気通信利用役務ではない[7][2]仕入税額控除の対象にならない[3]控除に関係しない
事業者向けの電気通信利用役務(ネット広告の掲載、個別の契約で事業として受ける継続的なコンサルティングなど)国内取引。自社が特定課税仕入れとして申告する(条件は右の欄)[4]一般課税・課税売上割合95%未満の課税期間だけ申告と控除。帳簿の保存で控除[2]不要[2]
日本で行う芸能・スポーツ等の特定役務の提供国内取引。自社がリバースチャージで申告する(条件は右の欄)[4][2]事業者向けの電気通信利用役務と同じ条件[4]不要[2]
消費者向けの電気通信利用役務(誰でも申し込めるSaaSなど)国内取引。納税義務があるのは国外事業者の側(アプリストアなど特定プラットフォーム事業者を介した取引は、プラットフォーム事業者の側)[4][2]一般課税なら、原則として適格請求書の保存で控除[2]必要。未登録なら経過措置も使えない[2]
日本に来て行う作業(特定役務の提供を除く)国内取引[1]国内の仕入先からの課税仕入れと同じ必要(一般課税の場合)。なければ経過措置[8][6]
韓国の国外事業者から受ける取引と、自社の消費税の扱い

受注制作のインターネット納品は国外取引 — 仕入税額控除の対象外

国税庁のQ&Aは、著作物の制作を国外事業者に依頼し、成果物の受領や制作過程の指示をインターネットで行う取引を、電気通信利用役務に当たらないとしています。インターネットは制作に付随して使われているだけだからです[2]。

基本通達も、国外でソフトウェアを開発し、完成品をインターネットで送信するものを、当たらない例に挙げています[5]。こうした取引は、作業を行った韓国で判定するので国外取引です[1]。

仕入税額控除の対象は、国内で行う課税仕入れ、特定課税仕入れ、保税地域から引き取る課税貨物です[3]。国外取引には日本の消費税がかからないので、控除する税額もありません[1]。

韓国からの請求書に「消費税」の行があっても、国外取引なら控除できる日本の消費税はありません[1][3]。金額をそのまま払う前に、取引の内容と請求額の内訳を発行者に確認します。

事業者向け電気通信利用役務のリバースチャージ — 経理の処理

基本通達は電気通信利用役務の提供の例として、インターネットを介した電子書籍の配信、音楽・映像の視聴、ソフトウェアの利用、広告の掲載、電話・電子メールによる継続的なコンサルティングなどを挙げています[5]。インターネットを介した英会話教室も該当します[2]。

このうち事業者向けに当たるのは、ネット広告の掲載のように性質から事業者向けのものと、取引先ごとに内容を取り決めた契約で、事業として使うことが明らかなものです[5]。消費者も広く申し込めるサービスは、規約で事業者向けとうたっていても、申込みを事実上制限できなければ事業者向けではありません[5]。

事業者向けの電気通信利用役務を受けた自社は、支払対価の額を課税標準として申告・納税し、同じ取引を仕入税額控除の対象にもします。ただし、実際に申告するのは次の見出しの条件に当たる課税期間だけです[2]。支払対価の額には消費税等に相当する額が含まれていない扱いなので、税抜計算をせず、支払った(支払うべき)金額をそのまま課税標準にします[2]。

申告するのは一般課税で課税売上割合95%未満の課税期間だけ

リバースチャージ方式で申告が必要なのは、一般課税で申告する事業者のうち、その課税期間の課税売上割合が95%未満の事業者だけです[2]。課税売上割合に準ずる割合の承認を受けていて、その割合が95%以上でも、課税売上割合が95%未満なら申告します[2]。

自社の課税期間特定課税仕入れの扱い
一般課税で、課税売上割合が95%未満課税標準に含めて申告し、仕入税額控除の対象にする[2]
一般課税で、課税売上割合が95%以上「なかったもの」とされ、申告も控除もしない[2]
簡易課税・2割特例・3割特例を適用「なかったもの」とされ、申告も控除もしない[2]
自社が免税事業者申告は不要[2][4]
自社の申告方法と、特定課税仕入れの扱い

韓国の支払先が日本で消費税の納税義務を免除されているかどうかに関係なく、自社が申告します[2]。

課税売上割合が95%未満の課税期間は、仕入税額控除の額を個別対応方式か一括比例配分方式で計算します[3]。申告した特定課税仕入れの税額が、そのまま全額控除されるとは限りません。計算は税理士や会計ソフトの手順に従ってください。

帳簿に書くこと — 適格請求書は要らない

特定課税仕入れの仕入税額控除には、適格請求書などの保存は必要ありません。法令に定める事項を書いた帳簿の保存だけで控除できます[2][3]。帳簿に書く事項は次の五つです[3]。

  • 特定課税仕入れの相手方の氏名又は名称
  • 特定課税仕入れを行った年月日
  • 特定課税仕入れの内容
  • 特定課税仕入れに係る支払対価の額
  • 特定課税仕入れに係るものである旨

国内の課税仕入れの帳簿にない項目は、最後の「特定課税仕入れに係るものである旨」です[3]。帳簿に「特定」と付記するなど、後から特定課税仕入れだと確認できる表示で差し支えないとされています[2]。

見積書・請求書の「リバースチャージ」の表示を確かめる

事業者向けの電気通信利用役務を提供する国外事業者は、受ける事業者が消費税を納める義務がある旨を「あらかじめ」表示しなければなりません[3]。日本で課税事業者かどうかにかかわらず、この義務があります[5]。

法令で決まった文言はありません。国税庁のQ&Aは、次のような表示を例に挙げています[2]。

  • 「日本の消費税は役務の提供を受けた貴社が納税することとなります。」
  • 「日本の消費税のリバースチャージ方式の対象取引です。」

メールなどで取引内容を交渉する場合、表示は交渉を始める段階で取り交わす書類やメールに書くものとされています[2]。国税庁のQ&Aは、事業者向けかどうかを判断する際に、取引開始時などにこの表示を確かめることも有用としています[2]。

表示がなくても、自社の納税義務は変わりません[2][5]。表示の有無ではなく、取引の内容で判定します。迷う場合は、上の「判断の順番」に戻って確かめます。

日本で行う役務 — 芸能・スポーツ等の特定役務の提供と、それ以外の作業

国外事業者が日本で他の事業者に対して行う役務の提供のうち、芸能人や職業運動家の役務の提供を主たる内容とする事業として行うものは「特定役務の提供」です。映画・テレビへの出演、演劇・演奏、スポーツ競技大会への出場などが当たります。不特定かつ多数の者に対して行うものは除かれます[2]。

特定役務の提供を受けた自社は、事業者向けの電気通信利用役務と同じくリバースチャージ方式で申告します。申告するのは、一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間だけです[4][2]。

それ以外の、韓国の支払先が日本に来て行う作業は、通常の国内取引です[1]。納税義務があるのは支払先の側で、自社の仕入税額控除は国内の仕入先からの課税仕入れと同じく、適格請求書が基本になります(次の見出し)。

適格請求書(インボイス)が要る取引 — 消費者向けと国内の課税取引

海外のフリーランスや企業に適格請求書を求める実益があるのは、支払先が日本の消費税の納税義務者となる取引だけです。消費者向けの電気通信利用役務と国内の課税取引が当たり、それも自社が一般課税で仕入税額を計算する場合に限られます[4][2][6]。国外取引とリバースチャージの取引では、求める必要はありません[3][2]。

取引適格請求書がない場合
消費者向けの電気通信利用役務登録していない国外事業者からの仕入れには、80%・70%などを控除できる経過措置が使えない[2]。一定規模以下の事業者が2029年9月30日までに行う税込み1万円未満の仕入れは、少額特例で帳簿の保存だけで控除できる[2]
日本に来て行う作業など、国内の課税取引(特定役務の提供を除く)経過措置で仕入税額相当額の70%を控除(2026年10月1日〜2028年9月30日。帳簿と請求書等の保存が要件)[8]。2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、同じ相手からの仕入れが年1億円(税込み)を超える部分は対象外[6]
適格請求書がない場合の控除(自社が一般課税の場合)

簡易課税の事業者は、売上げの消費税額にみなし仕入率をかけて仕入れの税額を計算します。みなし仕入率で計算するので、支払先の登録の有無は計算に影響しません[6]。

請求書に登録番号が書かれていたら、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確かめられます。公表サイトには氏名又は名称、登録番号、登録年月日などが載っています[8]。

韓国の支払先から請求書を受け取ったら確かめること

  • 成果物を納品してもらう受注制作か、サービスそのものをインターネットで受けているか(上の「判断の順番」)[2][5]
  • 国外取引なら、課税仕入れとして控除していないか[3]
  • 事業者向けの電気通信利用役務や特定役務の提供なら、自社がその課税期間に一般課税で課税売上割合95%未満か[2]
  • リバースチャージで申告する課税期間なら、帳簿に「特定課税仕入れに係るものである旨」を書いたか[3]
  • 消費者向けの電気通信利用役務や日本での作業なら、適格請求書と登録番号を確かめたか[2][8]
  • 著作権の譲渡や利用許諾が含まれる対価なら、源泉徴収の要否を確かめたか(源泉徴収の判断)
  • 翻訳・映像編集・1回限りのオンライン相談など、国税庁の例にない取引を税理士に確認したか

Dokoloでは

支払先がDokoloで作った請求書なら、消費税と登録番号の欄は次のように表示されます。どれも発行者が選んだ設定で、取引の種類をDokoloが判定したものではありません。

  • 消費税を表示しない設定:明細の税率の欄と税率ごとの税額の行がなく、金額は「ご請求金額:」と「合計」で表示されます。消費税を表示する設定なら「ご請求金額(税込):」「合計(税込)」です。
  • リバースチャージの表示:Dokoloは表示の文言を自動では入れません。発行者が入れた場合は、請求書の「備考」に表示されます。
  • 登録番号:発行者が欄を追加した場合だけ「登録番号:」の行が出ます。Dokoloは登録番号を国税庁の公表サイトと照合しないので、番号は公表サイトで確かめてください。
  • 源泉徴収:発行者が源泉徴収を設定していると、金額は「差引ご請求金額:」で表示されます。表示の読み方は韓国の個人・法人への支払と源泉徴収の「Dokoloでは」にあります。

よくある質問

韓国のデザイナーにロゴ制作を依頼しました。インボイス(登録番号)を求める必要はありますか。

韓国で制作し、データをインターネットで納品する取引なら、求める必要はありません。国外取引で日本の消費税がかからず、仕入税額控除の対象にもならないからです[2][1][3]。ただし、著作権の譲渡や利用許諾の対価が含まれれば、源泉徴収が必要になることがあります。源泉徴収の判断で確かめてください。

リバースチャージの対象ですが、自社は簡易課税です。何をすればよいですか。

簡易課税が適用される課税期間の特定課税仕入れは「なかったもの」とされます。リバースチャージの申告は不要で、仕入税額控除もしません[2]。一般課税でも、課税売上割合が95%以上の課税期間は同じ扱いです[2]。課税期間ごとに判定が変わるので、一般課税に戻る課税期間は改めて確かめます。

見積書や請求書にリバースチャージの表示がありません。自社の申告はどうなりますか。

表示がなくても、事業者向けの電気通信利用役務に当たれば、自社の納税義務は変わりません[2][5]。一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間なら、特定課税仕入れとして申告します[2]。当たるかどうかは表示ではなく取引の内容で判断し、迷う場合は税理士に確認してください。

韓国の支払先が「消費税10%」を上乗せして請求してきました。控除できますか。

受注制作をインターネットで納品するような国外取引なら、日本の消費税はかからず、控除できる税額もありません[1][3]。事業者向けの電気通信利用役務なら、自社が一般課税で課税売上割合95%未満の課税期間に、リバースチャージで申告します。それ以外の課税期間は申告も控除もしません[2]。申告する場合、上乗せ分も払うなら、それを含めた支払額が課税標準です[2]。どちらでも、まず取引の内容と上乗せの理由を発行者に確認します。消費者向けの電気通信利用役務や日本での作業なら、適格請求書の有無で扱いが変わります[2]。

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このページは一般的な情報の提供を目的としたもので、税務上の助言ではありません。個別の取引の扱いや申告の計算は、税理士にご確認ください。