外貨建ての請求書とインボイス|消費税額の円換算・換算レート・振込先
日本の事業者が米ドル・ユーロ・ウォンなどの外貨で請求書を出すときの書き方をまとめました。外貨建てでも適格請求書になること、税率ごとの消費税額等だけは円で書くこと、どの換算レートを使うか、端数処理の順番、計算例、海外から送金してもらうための振込先の書き方を、2026年10月23日現在の国税庁・e-Govの資料で説明します。
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対象日本に住む個人事業主と日本の法人で、外貨建ての請求書を国内または海外の取引先に出す方が対象です。韓国など日本国外に住む方が日本の取引先に請求する場合は、[海外在住で日本の取引先に請求書を送るとき](/guide/korea-to-japan-invoicing)をご覧ください。
結論
- 外貨建ての請求書も適格請求書になります。記載事項は円建てと同じで、外国語や外貨で書いてかまいません。ただし「税率ごとに区分した消費税額等」だけは、円換算した金額を書きます[1][2]。
- 円換算は、所得税・法人税で売上を円換算するのと同じ方法(原則は取引日のTTM)で行います。交付の時点でそれが難しければ、交付日のTTMを継続して使うなどの合理的な方法でもかまいません[1][2][3]。
- 端数処理は、円にした消費税額等について税率ごとに1回だけ行います。外貨の消費税額を先に丸めてから円換算する計算は認められていません。外貨の消費税額は参考として書くものです[1]。
- 計算例:10%対象がUSD 1,234.56、換算レートが1 USD=150.25円なら、1,234.56×150.25×10%=18,549.264で、消費税額等は18,549円(1円未満切捨て)です[1]。
- 海外の取引先への請求が輸出免税や国外取引に当たれば、適格請求書の交付義務はありません。振込先は、銀行の案内に沿って、銀行の英文名・SWIFTコード・口座番号・英字の口座名義と住所を書くのが一般的です[4][5][6]。
このページの内容外貨建てでも適格請求書になる — 円で書くのは消費税額等だけ
外貨建てでも適格請求書になる — 円で書くのは消費税額等だけ
国税庁のインボイスQ&A 問68は、米ドルなどの外貨建ての取引でも、適格請求書に書く事項は円建ての場合と同じだとしています。そのうえで、「税率の異なるごとに区分した消費税額等」を除き、外国語や外貨で書いても問題ないと答えています[1]。消費税額等は、外貨建ての取引でも円換算した金額を書きます[1][2]。
換算レートの決め方 — 原則はTTM、難しければ合理的な方法を継続して
消費税額等の円換算は、売上の対価の額の円換算(消費税法基本通達10-1-7)と同じく、所得税・法人税で外貨建ての売上を円換算する方法によります[1][3]。その方法は、取引を計上すべき日(取引日)のTTM、つまり対顧客直物電信売相場(TTS)と対顧客直物電信買相場(TTB)の仲値です[7][8]。
| 発行する側 | 原則 | 継続適用を条件に使えるもの |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 取引日のTTM[7] | 売上は取引日のTTB。前月末日・当月初日の相場や、1か月以内の平均相場など[7] |
| 法人 | 取引日のTTM[8] | 売上は取引日のTTB。前月末日・当月初日の相場や、1か月以内の平均相場など[8] |
相場は、原則として主たる取引金融機関のものを使います[7][8]。請求書を作る時点で取引日の相場がまだ分からないなど、この方法で円換算するのが難しい場合は、適格請求書を交付する日のTTMや決済日のレートを継続して使うなど、合理的な方法でもかまいません[1][2]。
計算の順番と端数処理 — 円にしてから税率ごとに1回
問68は、消費税額等を円換算して求める方法として、次の4つを示しています。どれを使っても、端数処理をするのは円になった消費税額等です[1]。
計算例 — 米ドル建ての請求書
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| ウェブサイトデザイン一式 | USD 1,200.00 | |
| 追加バナー制作(3点) | USD 34.56 | 11.52×3 |
| 小計(10%対象・税抜) | USD 1,234.56 | 1,200.00+34.56 |
| 消費税(10%)(参考) | USD 123.45 | 1,234.56×10%=123.456 → 0.01ドル未満切捨て |
| 合計(請求金額) | USD 1,358.01 | 1,234.56+123.45 |
| 換算レート | 1 USD=150.25円 | 例として取引日のTTM |
| 消費税額等(円換算)10%対象 | 18,549円 | 1,234.56×150.25×10%=18,549.264 → 1円未満切捨て[1] |
円の消費税額等は、方法1でも方法3でも18,549円です。方法1で円の対価の額185,492.64円を185,492円に切り捨ててから10%を掛けても、18,549.2円で18,549円になります[1]。請求金額はUSD 1,358.01のままで、円の消費税額等は合計に足しません。
合計欄の書き方の例(上の計算例)
小計(10%対象) USD 1,234.56 消費税(10%)(参考) USD 123.45 合計 USD 1,358.01 消費税額等(円換算)10%対象 18,549円 換算レート 1 USD=150.25円(2026/10/22 TTM)
よくある間違い — 外貨の税額を丸めてから円換算する
参考の外貨税額USD 123.45にレートを掛けると、123.45×150.25=18,548.36…で18,548円になり、正しい18,549円と1円ずれます。計算過程の外貨の消費税額等は端数処理できないため、この計算は使えません[1]。丸める前の123.456ドルに150.25円を掛ければ18,549.264円で、正しい額になります。
海外の取引先に請求する場合 — 消費税がかかるかは別に判断する
取引先が海外にいる場合は、円換算の前に、その取引に日本の消費税がかかるかを確かめます。ここでは判断の入口だけを示します。
- 国内取引か国外取引か:サービス(役務の提供)は、原則としてサービスを提供した場所で判定します。インターネットを通じた電子書籍・音楽・広告の配信などの「電気通信利用役務の提供」は、受ける側の住所等で判定します。国外取引には消費税がかかりません[9]。
- 輸出免税:非居住者に対するサービスの提供は、一般的には輸出免税の対象で、消費税が免除されます。ただし、国内にある資産の運送・保管、国内での飲食・宿泊など、非居住者が国内で直接便益を受けるものは免除されません[10][5]。
- 免税の証明:非居住者へのサービスの提供で輸出免税を受けるには、契約書その他の書類で一定の事項が記載されたものを7年間保存します[10]。
- 適格請求書の交付義務:交付義務があるのは、国内で行う課税資産の譲渡等で、取引先の事業者(免税事業者を除く)から求められたときです。輸出免税などで消費税が免除される取引は、この義務から除かれています[4]。
国内の取引先に外貨で請求する場合 — 源泉徴収は支払う側が円換算する
海外送金の振込先の書き方 — SWIFTコード・英字の口座名義・住所
海外の取引先から送金してもらうには、日本の受取銀行と口座の情報を英字で伝えます。三菱UFJ銀行は、送金人に伝える情報として次の項目を挙げています[6]。項目や表記は銀行ごとに違うため、自分の口座がある銀行の「海外からの送金受取」の案内も確認してください。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 受取銀行 | 銀行の英文名。支店名・銀行住所を求められたら、口座のある支店の名前と住所(英字)[6] |
| SWIFTコード(BIC) | 8桁。三菱UFJ銀行は国内全店共通で、11桁を求められたら末尾にXXXを付けます[6] |
| 口座番号 | 店番3桁と口座番号7桁を合わせた番号[6][12] |
| 受取人名 | 口座名義の英字表記。銀行に英文名を届け出ている場合は、その名称と同じにします[6] |
| 受取人住所 | 英字で書きます[6] |
- IBAN・ABAは不要:日本ではIBANやABA(米国の銀行コード)は使われていません。送金人に求められたら、そう伝えます[6]。
- 中継銀行:楽天銀行のように、中継銀行の情報も送金指図に入れるよう求める銀行があります[12]。
- 受け取る通貨:円預金の口座を指定すると、銀行所定のレートで円に換算して入金されます。外貨のまま受け取るなら、同じ通貨の外貨預金を指定します[6]。
- 手数料:受け取る側の銀行でも入金時の手数料がかかることがあります[6]。送金手数料をどちらが負担するかを見積書や契約の段階で決め、請求書の備考にも書いておくのが実務の慣行です。
振込先の書き方の例(値は架空のものです)
Bank: SAMPLE BANK, LTD. TOKYO BRANCH SWIFT: XXXXJPJT Account No.: 123-4567890 Beneficiary: TARO YAMADA Address: 1-2-3 MARUNOUCHI, CHIYODA-KU, TOKYO 100-0005, JAPAN
よくある質問
換算レートは請求書に書かないといけませんか。
記載事項ではありません。記載が必要なのは円換算した消費税額等です[1]。ただ、問68の記載例でも、表の上に使ったTTMの値が示されています。使ったレートと基準を書いておけば、取引先が消費税額等を確かめられ、問い合わせを減らせます。
取引先が別のレートで円換算していたら、消費税額等を直す必要がありますか。
直す必要はありません。取引先が請求書の消費税額等を積み上げて仕入税額を計算する場合、請求書に書かれた消費税額等が取引先自身の円換算の方法と違っても問題ないとされています[1]。発行する側は、自分で決めた換算方法を続けて使います[2]。
外貨の消費税額は書かなくてもいいですか。
適格請求書の記載事項としては不要です。外貨の消費税額は参考として書くものです[1]。書く場合は「(参考)」と添えると、円の消費税額等と区別できます。
登録番号のない免税事業者が外貨で請求する場合も、円の消費税額が必要ですか。
円換算の消費税額等は、適格請求書に書く事項です。適格請求書を交付する義務があるのは適格請求書発行事業者です[4]。登録していない事業者の請求書は適格請求書ではないため、この記載は求められません。
ウォンやユーロでも計算方法は同じですか。
同じです。問68は米ドルを例にしていますが、答えは「米ドルなどの外貨建てによる取引」についてのものです[1]。1単位あたりの円の額が小さいウォンなどでも、円にしてから税率ごとに1回端数処理する順番は変わりません。
出典
- [1]
国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(問57・問68・問127)
令和8年5月改訂(問68は令和5年10月改訂)一次資料
- [2]
国税庁 消費税法基本通達 1-8-16(外貨建取引に係る適格請求書の記載事項)
令5課消2-9により追加(2026年10月23日確認)一次資料
- [3]
国税庁 消費税法基本通達 10-1-7(外貨建取引に係る対価)
消費税法基本通達(2026年10月23日確認)一次資料
- [4]
消費税法 第57条の4第1項(適格請求書発行事業者の義務、e-Gov法令検索)
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月23日確認)一次資料
- [5]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [6]
三菱UFJ銀行 外国送金のお受け取り(送金人に伝えるべき情報)
2026年10月23日確認(銀行の案内・実務の慣行)
- [7]
令7課個2-10等改正(2026年10月23日確認)一次資料
- [8]
国税庁 法人税基本通達 13の2-1-2(外貨建取引及び発生時換算法の円換算)
法人税基本通達(2026年10月23日確認)一次資料
- [9]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [10]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [11]
国税庁 所得税基本通達 213-1〜213-4(外貨で表示されている支払額の邦貨換算)
所得税基本通達(2026年10月23日確認)一次資料
- [12]
楽天銀行 送金人に伝える情報(海外からの送金受取・法人のお客さま)
2026年10月23日確認(銀行の案内・実務の慣行)
最終確認日