海外在住で日本の取引先に請求書を送るとき — 消費税・登録番号・源泉徴収・印紙の違い
海外在住で日本の取引先に請求書を送る方向けに、日本に住む発行者と何が違うかを一覧にした入口のページです。請求書に書くこと・書かないことを1枚の表にまとめ、自分の取引からどの詳しいページを読めばよいかをたどれるようにしています。
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対象韓国など日本国外に住みながら日本の事業者に請求する個人・法人(日本に事務所などの拠点を持たない方)。
結論
- デザインやソフトウェア開発などの受注制作を韓国で行い、成果物をインターネットで納品する取引は国外取引です。日本の消費税は課税されません(不課税)[1][2]。継続的なオンライン相談・SaaSなどの電気通信利用役務や、日本に来て行う作業は扱いが変わります[3][1]。
- 適格請求書発行事業者の登録は任意です[2]。国外取引とリバースチャージの対象取引では、登録しても取引先の仕入税額控除は変わりません[4][2]。
- 韓国で行った作業だけの対価なら、取引先の源泉徴収はありません[5]。イラストやソフトウェア開発の受注制作でも、成果物の著作権を譲渡したり利用を許諾したりする契約なら、使用料として20.42%の源泉徴収の対象です[6][7]。租税条約に関する届出書を取引先を通じて最初の支払日の前日までに出せば、10%になります(受益者が韓国居住者の場合)。日本の居住者向けの10.21%は当てはまりません[8][6]。
- PDFの領収書や韓国から郵送する領収書に収入印紙は要りません[9][10][11]。日本を訪れて紙で手渡すと、日本で作成したものとして判定されます[11][12]。
- 宛名・番号・日付・明細など基本の項目は日本の請求書と同じです。変わるのは消費税の欄、登録番号、リバースチャージの表示、源泉徴収の行、英語の振込先で、下の表にまとめています。
このページの内容海外在住で日本の取引先に請求するとき、日本に住む場合と違う5つの点
海外在住で日本の取引先に請求するとき、日本に住む場合と違う5つの点
日本に住む発行者と、韓国に住み日本に拠点を持たない発行者では、次の5つの扱いが変わります。条件ごとの説明は、「詳しく」の列のページにあります。
| 論点 | 日本に住む発行者 | 韓国に住む発行者 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 日本の消費税 | 請求書の書き方「軽減税率と消費税の欄」 | 受注制作を韓国で行いネットで納品するなら国外取引で、消費税は課税されない(不課税)[1][2]。電気通信利用役務と日本に来て行う作業は国内取引になる[3][1] | 日本の消費税は必要? |
| 登録番号(インボイス) | 請求書の書き方「発行者と登録番号」 | 登録は任意[2]。国外取引とリバースチャージの対象取引では、登録しても取引先の控除は変わらない[4][2]。登録するなら、日本に拠点がない場合は税務代理人と納税管理人が要り[13]、登録中は免税にならず一般課税で計算する[14][15] | インボイス登録は必要? |
| 源泉徴収 | 請求書の書き方「源泉徴収税額を書く場合」 | 韓国で行った作業だけの対価ならなし[5]。著作権の譲渡・利用許諾の対価なら20.42%で、イラストや開発の受注制作でも契約の中身によっては当たる[6][7]。その支払日の前日までに取引先を通じて届出書が出ていれば10%(受益者が韓国居住者の場合)。最初の支払から10%にするには、最初の支払日の前日までに出す[8] | 報酬は源泉徴収される?、届出書(様式3)の書き方 |
| 収入印紙 | 領収書の書き方「収入印紙が必要な領収書」 | PDFと韓国から郵送する領収書にはかからない[9][10][11]。日本を訪れて紙で手渡すと日本の規則で判定される[11][12] | 海外から送る領収書と収入印紙 |
| 電子帳簿保存法 | 電子帳簿保存法のガイド | 保存義務を負うのは、受け取る日本の取引先[16]。発行者自身に日本の保存義務があるかは確認できていない | 海外から送る領収書と電子帳簿保存法 |
請求書に書くこと・書かないこと
宛名、請求書番号、請求日、件名、明細、支払期限といった基本の項目は、日本の請求書と同じ書き方です。項目ごとの書き方は、請求書の書き方の番号付きサンプルで説明しています。
韓国に住む発行者で書き方が変わるのは、次の項目です。
| 項目 | 書き方 | 詳しく |
|---|---|---|
| 消費税の欄 | 国外取引、事業者向けの電気通信利用役務、芸能・スポーツ等の特定役務の提供では設けず、本体の金額だけを請求する[1][2]。消費者向けの電気通信利用役務や、日本に来て行う作業(特定役務の提供を除く)で、日本で納税義務がある場合は書く[3] | 日本の消費税は必要? |
| 登録番号 | 登録していなければ書かない。登録していない人が、適格請求書と誤認されるおそれのある表示をした書類を交付することは禁止されている[4]。「T」に13桁の数字が続く登録番号の形に似た英数字を、自分の「登録番号」として書くのはその例[14] | インボイス登録は必要? |
| リバースチャージの表示 | 事業者向けの電気通信利用役務と、芸能・スポーツ等の特定役務の提供のときだけ書く。取引先に納税義務がある旨を「あらかじめ」表示する義務があり、交渉を始める段階の書類やメールから書く[4][2]。受注制作の国外取引には要らない[2] | リバースチャージの表示 |
| 源泉徴収税額の行 | 源泉徴収の義務を負うのは取引先で、請求書に書くのは慣行[6][17]。書くかどうかは取引先と決める。書くなら、取引先と確かめた税率(20.42%か10%)で計算する。作業だけの対価なら行を設けない。10.21%は使わない[6] | 請求書に源泉徴収税額を書くとき |
| 振込先 | 海外送金に使う項目を英語で書く。三菱UFJ銀行の案内は、送金依頼書に受取銀行のSWIFTコード(BIC)、受取人のフルネーム、国名・都市名を含む住所(連絡先ではなく実際の住所)、口座番号を書くよう求めている[18] | 海外送金で報酬を受け取る |
| 手数料・通貨・支払期限 | 海外送金の手数料を誰が負担するか、円か外貨か、支払期限を見積書の段階で決め、請求書にも同じ条件を書く。三井住友銀行の手数料表では、依頼人負担にしても受取銀行や経由銀行が受取人から別に手数料を取ることがある[19] | 手数料の負担 |
見積書も同じ考え方で作ります。リバースチャージの表示は、交渉を始める段階で取り交わす書類やメールに入れます[2]。受注のたびに見積書を出すなら、最初の提案メールと見積書から書きます。
自分の取引に合うページの選び方
次の順に自分の取引を確かめ、当てはまるページを読みます。
- 何を提供するか:成果物を作って納める受注制作か、継続的なオンライン相談・オンライン講座・SaaSのような電気通信利用役務か、物品か[3][1]。→日本の消費税は必要?
- どこで行うか:韓国で行ってネットで納品するか、日本に来て行うか。サービスは、原則として行った場所で判定します[1]。→日本の消費税は必要?
- 電気通信利用役務なら、相手は事業者に限られるか:事業者向けなら、取引先が一般課税で課税売上割合95%未満の課税期間にリバースチャージで申告します[3][2]。取引先が申告するかどうかにかかわらず、請求額に消費税は含めず[2]、自分には表示の義務があります[4]。消費者向けなら、自分が日本で申告・納税することがあります[3]。→電気通信利用役務の扱い
- 取引先から登録番号を聞かれたか:登録が取引先の控除に影響する取引かを確かめます。→インボイス登録は必要?
- 何の対価か:作業だけか、著作権の譲渡・利用許諾を含むか。契約の名目だけでなく、目的や内容で判断されます[7]。→報酬は源泉徴収される?
- 使用料に当たるなら:10%の適用を受けるには、最初の支払日の前日までに、取引先を通じて届出書を出します[8]。→届出書(様式3)の書き方
- どう受け取るか:海外送金なら、振込先・手数料・通貨・支払期限を決めます。→海外送金で報酬を受け取る
- 領収書を出すか:PDFで送るか、郵送か、日本で手渡すかで印紙の扱いが変わります[9][11]。→海外から送る領収書と収入印紙
- 日本の取引先への売上と韓国の付加価値税:付加価値税が免税か零税率か課税か
- 韓国の零税率の添付書類と税金計算書:零税率の申告に付ける書類と、税金計算書の発行義務が免除される場合・その例外
- 韓国の総合所得税:翌年5月の確定申告と収入金額、帳簿と推計
- 外国納付税額控除:日本で源泉徴収された税の韓国での控除
よくある質問
取引先から「消費税を付けて」「登録番号を書いて」と言われたら、どうすればよいですか。
まず、取引の種類を確かめます。受注制作のネット納品のような国外取引なら、日本の消費税は課税されないので、上乗せする根拠はありません[1][2]。国外取引とリバースチャージの対象取引では、登録しても取引先の控除は変わりません[4][2]。継続的なオンライン相談などの電気通信利用役務や日本に来て行う作業なら扱いが変わり[3]、取引先が一般課税なら登録の有無が控除に影響することもあります[2]。取引の判定は日本の消費税は必要?で確かめてください。取引先への返信例はインボイス登録は必要?に載せています。
請求書に源泉徴収税額を書かなければ、差し引かれませんか。
いいえ。源泉徴収をするのは取引先で、請求書に書かなくても、対象の対価なら支払のときに源泉徴収されます[6]。書くのは金額を確かめ合うための慣行です[17]。対象になるかは、報酬は源泉徴収される?で確かめてください。
日本に出張して行った作業の分も、同じ扱いですか。
いいえ。日本に来て行う作業は、韓国で行う作業と扱いが変わります。消費税では国内取引で[1]、源泉徴収では、個人なら国内源泉所得として原則20.42%の対象です[5][6]。法人なら、芸能人・自由職業者の役務の提供や、専門的な知識・技能を活用する役務の提供を主たる内容とする事業の対価が20.42%の対象です[5][6]。どちらも租税条約で免除・軽減される場合があるので、税理士・税務署に確認してください[6]。請求する前に、日本の消費税は必要?と報酬は源泉徴収される?を読んでください。
出典
- [1]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [2]
- [3]
国税庁 No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [4]
消費税法 第2条第1項第8号の2(特定資産の譲渡等)・第30条第1項(仕入税額控除)・第57条の5(適格請求書類似書類等の交付の禁止)・第62条(特定資産の譲渡等を行う事業者の義務)
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月20日確認)一次資料
- [5]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [6]
国税庁 No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [7]
国税不服審判所 平成21年12月11日裁決(裁決事例集No.78 208頁)
2026年10月20日確認一次資料
- [8]
国税庁 No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [9]
国税庁 質疑応答事例 取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い
令和7年8月1日現在の法令・通達等一次資料
- [10]
令和7年8月1日現在の法令・通達等一次資料
- [11]
令和7年8月1日現在の法令・通達等一次資料
- [12]
国税庁 印紙税法基本通達 第49条(作成場所が法施行地外となっている場合)
2026年10月20日確認一次資料
- [13]
国税庁 D1-65 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国外事業者用)
2026年10月20日確認一次資料
- [14]
- [15]
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [16]
国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問1(制度の概要)
令和8年7月一次資料
- [17]
freee 請求書に源泉徴収税額の記載は必要?計算方法や書き方・対象について解説
2026年5月26日更新
- [18]
2025年11月17日現在
- [19]
2026年2月
最終確認日