租税条約に関する届出書(様式3)の書き方 — 韓国から使用料を受け取るとき
日本の取引先から著作権の使用料や、条約で使用料に準じて扱われる譲渡の対価を受け取る方向けに、租税条約に関する届出書(様式3)を欄ごとに埋める手順と、取引先への渡し方を説明します。取引先に送る連絡メールの例も載せています。
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対象韓国など日本国外に住みながら日本の事業者に請求する個人・法人(日本に事務所などの拠点を持たない方)。
結論
- 様式3は、日本の取引先から受け取る著作権などの使用料や、条約で使用料に準じて扱われる譲渡の対価に、日韓租税条約の10%(受益者が韓国居住者の場合)を適用してもらうための届出書です[1][2]。使用料に当たるかどうかは源泉徴収のページで確かめてください。
- 作るのは受け取る自分です。取引先ごとに作って取引先に渡し、取引先が、取引先の所轄税務署長に提出します[3][1]。
- 期限は、その取引先から最初に支払を受ける日の前日までです。間に合わなかった支払は20.42%で源泉徴収され、差額は様式11で還付を請求します(納付から5年)[4][5][6]。
- 韓国の居住者が書く主な値は、軽減「1」、限度税率「10」%、相手国「韓国」・国コード「KR」、条約12条2項、日本国内の恒久的施設「2」(なし)です[1][7][2]。
- 10%への軽減だけなら、様式3の注意事項は居住者証明書の添付を求めていません。添付を定めているのは免税になる場合です[1]。
このページの内容様式3が必要になるのは使用料・譲渡の対価を受け取るとき
様式3が必要になるのは使用料・譲渡の対価を受け取るとき
様式3は、使用料にかかる日本の所得税・復興特別所得税の源泉徴収について、租税条約による軽減・免除を受けるときに使う届出書です[1]。著作権などの譲渡の対価で、条約で使用料に準じて扱われるものも、この様式で届け出ます[1]。
国内法では、使用料の源泉徴収税率は20.42%です[5]。日韓租税条約12条は、使用料の受益者が韓国の居住者である場合に、日本で課す税を使用料の額の10%までとしています[2]。条約の税率が適用されると復興特別所得税(2027年1月1日以後に生ずる所得は防衛特別所得税も)は併せて源泉徴収されず、税率はちょうど10%です[5]。
受け取る対価が使用料に当たるかどうかの判断は、海外在住者の報酬は源泉徴収される?で説明しています。このページは、使用料に当たると取引先と確かめた後の手続を扱います。
誰が・いつ・どこへ出すか — 取引先を通じて最初の支払日の前日まで
- 作るのは自分です。使用料を受け取る人が、使用料の支払者(取引先)ごとに1通作ります[1][3]。取引先が2社あれば2通です。
- 作った届出書は取引先に渡し、取引先が、取引先の所轄税務署長に提出します[3]。自分で税務署に出すものではありません[3]。
- 期限は、その取引先から最初に支払を受ける日の前日までです[3][4]。取引先が税務署に出す期限も同じ日なので[1]、早めに渡します。
- 書面で出すときは正副2部を作って取引先に渡します[3]。取引先がe-Taxで送ると前もって決めている場合は、1部で差し支えないとされています[8]。
- 出した後に記載事項(住所、契約の内容・期間・金額など)が変わったら、変わった後の最初の支払日の前日までに出し直します[4][3]。
届出書が出ているかどうかは、支払のたびに判定されます。その支払を受ける日の前日までに出ていなければ、その支払は国内法の20.42%で源泉徴収されます[4][5]。
書面で受け取った取引先は、正本を取引先の所轄税務署長に持参または送付します[3]。e-Taxで、PDFのイメージデータとして送ることもできます[3][9]。手元に残る1部は、源泉徴収義務者用として扱うことが望ましいとされています[8]。
様式3の欄ごとの書き方(韓国の個人・法人の場合)
様式と注意事項は、国税庁のA3-5の案内ページから取得できます[3]。国税庁は入力できるPDFも公開しています[8]。
様式は3ページで、欄に「F01」「E04」のような番号が付いています。同じ番号がページごとに別の欄に使われているので[10]、下の表は「1」「2」などの区分と欄の名前で示します。
注意事項は、OCRで読み取るため枠内に収まるように書くこと、「同上」や「〃」を使わないことを求めています[1]。様式は日本語と英語の併記です[10]。どちらの言語で書くかを定めた国税庁の説明は確認できていないので、取引先に確認します。
冒頭と「1」適用を受ける租税条約
| 欄(番号) | 書く内容 |
|---|---|
| 所得種類(G01) | 「6」が印刷されています[10] |
| 提出先(F01) | 取引先の所轄税務署[1]。欄の右に「税務署長」と印刷されているので、税務署の名前を書きます[10]。どの税務署かは取引先に確認します |
| 軽減…1/免税…2(G02) | 「1」(10%への軽減)[1] |
| 限度税率(G03) | 「10」[1][2] |
| 日本国と(E01)・国コード(E02) | 「韓国」・「KR」[1][7]。入力用PDFでは、E01で相手国を選ぶとE02に国コードが表示されます[1] |
| 条(G04)・項(G05) | 使用料(利用許諾の対価)は「12」条「2」項[1][2]。譲渡(買取り)の対価は下の注意を見てください |
| E03 | G04・G05と並ぶ、条項を書く3つ目の欄です[1]。12条2項のように号のない条項で、ここに何を書くか(空けるか)は確認できていません。取引先か税務署に確認します |
「2」使用料の支払を受ける者(自分)
| 欄(番号) | 韓国に住む個人 | 韓国の法人 |
|---|---|---|
| 氏名又は名称(E04) | 氏名[10] | 法人名[10] |
| 個人番号又は法人番号(有する場合のみ記入)(G06) | 日本の個人番号を持っている場合だけ書きます。個人番号は、日本の住民票に住民票コードが記載された人に指定されます[11] | 日本の法人番号の指定を受けている場合だけ書きます。法人番号は、日本で設立の登記をした法人や、日本で一定の届出書を出す法人などに指定されます[11] |
| 住所又は居所(E05)・電話番号(T01)・国籍(E06) | 韓国の住所・電話番号・国籍[10] | 書きません[10] |
| 本店又は主たる事務所の所在地(E07)・電話番号(T02)・設立又は組織された場所(E08)・事業が管理・支配されている場所(E09)・電話番号(T03) | 書きません[10] | 韓国の本店の所在地、設立した場所、事業を管理・支配している場所と電話番号[10] |
| 居住者として課税される国(E11) | 韓国[10] | 韓国[10] |
| 納税地(E12) | 何を書くかの国税庁の説明は確認できていません。取引先か税務署に確認します | 同左 |
| 納税者番号(E13) | 韓国の納税者番号。韓国政府がOECDに示した説明では、個人は住民登録番号です[12] | 同じ説明では事業者登録番号です。法人登録番号も例外的に認められています[12] |
| 日本国内の恒久的施設の有無(G07) | 「2」(なし)[1] | 「2」(なし)[1] |
| 恒久的施設の状況(E14〜E16・T04) | 空欄(恒久的施設がある場合の欄)[10] | 空欄[10] |
注意事項は、居住地国に納税者番号の制度がない場合や、番号を持っていない場合は書かなくてよいとしています[1]。韓国の番号の説明は国税庁ではなくOECDの参考資料によるものです[12]。住民登録番号は慎重に扱う個人情報でもあるので、どの番号を書くか迷ったら取引先か税理士に確認してください。
「3」取引先、「4」使用料の内容、「5」その他
| 欄(番号) | 書く内容 |
|---|---|
| 「3」氏名又は名称(F04)・住所(居所)又は本店(主たる事務所)の所在地(F06)・電話番号(F07)・個人番号又は法人番号(F02)・日本国内にある事務所等(E01〜E03・T01) | 取引先(使用料の支払者)の情報です[10]。取引先に聞いて書きます |
| 「4」使用料の内容(E04) | 何の使用料か。例:「ウェブサイト用イラストの著作権の利用許諾」[10] |
| 契約の締結年月日(E05)・契約期間(E06) | 契約書のとおり[10] |
| 使用料の計算方法(E07)・支払期日(E08)・金額(E09) | 契約で決めた計算方法(一式の金額、売上の○%など)・支払期日・金額[10] |
| 譲渡(買取り)の対価のとき | 譲渡収益の内容、譲渡価額の計算方法、支払期日、支払金額などを、使用料の場合に準じて書きます[1] |
| 「5」その他参考となるべき事項(E10) | 条約の適用を受けるための要件を満たす事情の詳細を書きます[1]。韓国の居住者が何を書けば足りるかを示した国税庁の記載例は確認できていません。取引先か税務署に確認します |
注意事項は、記載事項などについて別に説明資料を求めることがあるとしています[1]。契約書は手元に置いておきます。
3ページ目 — 多くの場合は使わない欄と、確認が必要な欄
| 欄(番号) | 書く内容 |
|---|---|
| 「6」外国法人の株主等・「7」相手国団体の構成員 | 日本と相手国で課税上の扱いが異なる事業体のための欄です[1]。韓国の個人や通常の株式会社は使いません |
| 代理人に関する事項(G06・E09〜E11・T01) | 代理人が出すときだけ書きます。納税管理人なら「1」、その他の代理人なら「2」で、その他の代理人のときは委任状とその翻訳文を付けます[1] |
| 特典条項に関する付表の添付(G07)・提出日(E12)・区分(E13) | 適用を受ける条約が特典条項を持つ場合の欄です[1]。国税庁の国別の様式17に韓国はありません[13]。ただ、日韓租税条約でこの欄を空けてよいと明示した資料は確認できていません。取引先か税務署に確認します |
| 居住者証明書の添付(G08) | 添付する場合は「1」、添付を省略する場合は「0」です[1]。10%への軽減ではそもそも添付が求められていないため(下の囲み)、「0」を書くのか空けるのかは確認できていません。取引先か税務署に確認します |
現行の様式3には、署名欄・記名押印欄・提出日の欄が見当たりません[10]。
PDFやメールで渡すとき(電磁的提供)
2021年(令和3年)4月1日以後は、書面の代わりに、届出書に書く事項を電磁的方法で取引先に提供できます。提供すれば、届出書を取引先に出したものとみなされます[9]。税務署への提出は、その後も取引先が行います。取引先は受け取った内容を取引先の所轄税務署長に提出し、期限は書面と同じく最初の支払日の前日です[3][1][9]。
提供する側(自分)に求められるのは、「自身の氏名又は名称を明らかにする措置」です。次のどれかを使います[8]。
- 届出書の情報に電子署名をして、その電子証明書を付けて送る[8]
- 取引先から通知されたID・パスワードを使って送る。国税庁は、PDFの余白にIDを印字する方法や、ファイル名にIDを付ける方法を例に挙げています[8]
- 官公署が発行した書類で、氏名と住所が載っていて提示の日前6か月以内に作られたものを取引先に見せ、確認を受ける[8]。住所の載っていない居住者証明書は、この書類に当たりません[8]
送り方は、電子メールや、CD・DVDなどに記録して渡す方法です[8]。取引先の側にも、提供を受けるための措置などの要件があります[9]。電子で渡せるか、どの方法にするかは先に取引先と決めておきます。
最初の支払に間に合わなかったとき — 20.42%と様式11
支払を受ける日の前日までに届出書が出ていなければ、取引先は条約の10%ではなく、国内法の20.42%で源泉徴収します[4][5]。最初の支払に間に合わなければ、届出書を出すまでに受けた支払は20.42%で源泉徴収されます。次の支払から10%にするには、その支払日の前日までに届出書を出します[4]。
すでに20.42%で差し引かれた分は、「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」(様式11)で差額の還付を請求できます。還付請求書と届出書を取引先ごとに作って取引先に渡し、取引先が還付請求書の「4」の欄を証明して、取引先の所轄税務署に出します[6]。
請求できるのは、納付があった日から5年の間です。それを過ぎると時効で請求権が消滅します[6]。
20.42%のうち、韓国で控除の対象になるのは、条約の限度税率10%(受益者が韓国居住者の場合)で計算した税額までです。個人の総合所得税も法人の法人税も同じです[14][15][2]。10%を超える差額は、韓国では控除されません[14][15]。この差額は、上の様式11で日本から取り戻します[6]。10%分を韓国で控除する方法は、日本で源泉徴収された税金を韓国で控除するで説明しています。
取引先への連絡 — 確認することとメールの例
提出先の税務署と「3」の取引先の情報は、取引先に聞かないと書けません[1][10]。期限は最初の支払日の前日なので[4]、契約が決まったら次の点を取引先に確認します。
- 提出先(F01)に書く、取引先の所轄税務署[1]
- 最初の支払日。届出書の期限はその前日です[4]
- 「3」に書く取引先の名称・所在地・電話番号・法人番号[10]
- 書面(正副2部)で渡すか、電子で渡すか。電子なら、ID・パスワードなどどの方法にするか[3][8]
次は連絡メールの例です。決まった文面はないので、取引に合わせて書き換えてください。
取引先への連絡メールの例
本件の著作権の使用料について、日韓租税条約の適用を受けるため、「租税条約に関する届出書」(様式3)を作成してお送りしたく、ご連絡いたしました。 届出書は、最初のお支払日の前日までに、貴社から所轄税務署へご提出いただく必要がございます。 作成にあたり、次の点をお知らせいただけますでしょうか。 ・貴社の所轄税務署(届出書の提出先欄に記入します) ・初回のお支払予定日 ・届出書に記入する貴社の名称、所在地、電話番号、法人番号 ・書面(正副2部)と電子データのどちらでお送りすればよいか お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
よくある質問
届出書に居住者証明書を付ける必要はありますか。
使用料を10%に軽減するだけなら、様式3の注意事項は居住者証明書の添付を求めていません。添付を定めているのは、使用料が免税になる場合です[1]。日韓租税条約の使用料は10%が上限で、免税ではありません[2]。
署名や押印は必要ですか。
現行の様式3には署名欄・記名押印欄・提出日の欄が見当たらず、注意事項にも署名の定めはありません[10][1]。電子で渡すときは、電子署名やID・パスワードなどで「自身の氏名又は名称を明らかにする措置」をとります[8]。取引先から署名を求められたら、その指示に従ってください。
出典
- [1]
2026年10月20日確認一次資料
- [2]
財務省 日本国と大韓民国との間の租税条約(第12条 使用料)
2026年10月20日確認一次資料
- [3]
国税庁 A3-5 租税条約に関する届出(使用料に対する所得税及び復興特別所得税の軽減・免除)
2026年10月20日確認一次資料
- [4]
国税庁 No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [5]
国税庁 No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率
令和8年4月1日現在法令等一次資料
- [6]
国税庁 A3-14 租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求(様式11)
2026年10月20日確認一次資料
- [7]
2026年4月1日現在一次資料
- [8]
国税庁 租税条約に関する届出書等の電磁的提供に関するFAQ(問4・問6〜問9・問15)
令和7年5月2日改訂(令和7年4月1日現在の法令等)一次資料
- [9]
国税庁 租税条約に関する届出書等に記載すべき事項等の電磁的提供等について
2026年10月20日確認一次資料
- [10]
2026年10月20日確認(様式ID NTA1VGZ160010010〜NTA0VGZ160030010)一次資料
- [11]
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 第7条第1項・第39条
e-Gov法令検索 現行法令(2026年10月20日確認)一次資料
- [12]
OECD Information on Tax Identification Numbers — Republic of Korea
Last update 30 May 2023
- [13]
2026年10月20日確認一次資料
- [14]
2026. 10. 1. 시행 대통령령 제36737호 (2026-10-21 확인)一次資料
- [15]
2026. 10. 1. 시행 대통령령 제36738호 (2026-10-22 확인)一次資料
最終確認日